もくもくと

あさ、何か飲もうと台所に立っているとグラグラっときました。あ、これ記憶にある。ヤバイ感じ。と思いました。

いくつかの物が落ちて、目の前で砥石が落ちて『わー足に落ちなくてよかった。この置き方はダメだったんだ』と思いながら、グラグラ。

朝から芦屋に行く用事があったのだけど、空模様は雨が降りそうで、電車も止まっているみたい。ひとまず身近な人、とても心配な人(困っていたら助けないといけないと思った人)の安否だけ確認して出かけました。

電車はやっぱり止まっていて、人で溢れているし、タクシー乗り場は長蛇の列。それを眺めていると、なんとなく疲れて「もう家に帰ろうかな」と思ったんだけど、やっぱりなんとなく芦屋に向かって大きな道路を歩きはじめて、立止まっては安否確認のため次から次へ連絡*1しました。こんなに簡単に連絡が取れるって、すごい。

「◯◯さんと連絡が取れない、どうしよう」という連絡がいくつか入る。電話をくれた人の取り乱した声。不安で押しつぶされそうな声。大丈夫、連絡取れるよ、私がちゃんと連絡取るから大丈夫。何か飲むか食べるかして、できるなら少し目を瞑って休むねん…ご飯がええやろか、パンがええやろか、机に突っ伏して寝るよりちょっと横になった方がええんちゃうか?まわりにモノのないとこでね。目が覚めたころには連絡がついてるよ。私に任せときー。とか、物語の登場人物の話なんかをすると、電話やメールの向こうで心底ホッとするため息や、ちょっと笑う声が出ていました。いつもは怠け者だけど、いまは私の出番みたい。なにより電話や連絡をくれたアナタが無事だとわかってよかったです。

ひと段落つくころには空は晴れて暑くて、そして芦屋市に入っていたのでした。芦屋方面から何人もの人とすれ違った。みんな黙々と歩いていた。いろいろ思い出します、あの時は寒かった。

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目的地では(そこで私を待ってくださっていた方と)手を動かしながら、色んな話をしました。彼女も地震を体験している人で、本当にいろいろ話した。そして「きょう、この時間を誰かと一緒にいることができてよかった。ひとりだったら辛かったねぇ」と2人で何度も言って、誰かと一緒にいるということを確認しあいました。

手を動かしながら、ときどき笑ったりしたけれど、すごく静かな時間で「ここにいると、こんなに静か」と、手を止めて2人で窓の外を眺めたことは忘れないような気がします。

帰りも歩き。「傘、いらんかったね。自転車で来れた」「ほんまにね、ふふふ」「傘、忘れる天気やね」と言うくらいの、空。

 

*1:とくに「3階建てのアパートメント」で大阪入りした作家さんたちは、慣れない土地で不安に違いないですものね。ご家族にも大丈夫だとお知らせしたい。