ニホンイシガメ
飛んでるように日光浴をしているニホンイシガメ。気持ちよくヌクヌクしている時は、だらーんと四肢をのばして干していることがあります。
我が家のカメは4頭いて、それぞれ1度ずつ木版画のモデルにしたことがあり、このカメはS氏。
尻尾を見ると間違いなく男子です。男子の尻尾は女子にくらべて太いのが特徴です。
うちにいるニホンイシガメの男女の違いは、まず大きさ。女子の方が5倍くらいの体重があり、甲羅の長さは女子と男子では10:6ほどです。私が一番顕著な違いだと思っているのは甲羅の厚みで、男子はものすごく平べったいのです。女子は卵を抱えるためなのかプックリとしていて山のよう。それに対して男子は丘陵地というか「ちょっとしたでっぱり」くらいの印象。
性別の描き分け。といえば、日本画や浮世絵に描かれているカメさんは*1圧倒的に男子が多いです。
超有名な広重の深川萬年橋のカメさんは尻尾を見るかぎり女子ですが、甲羅の数(縁甲板)があいまいなのが特徴です。
群○図という題名の絵がたくさん残っているのですが「いっぱいいますよ」という意味で「群鶴図」とか…面白いものでは「群龍図」があります。
「群亀図」という題名でしたら、カメさんいっぱいわんさか。な絵です。よく見ると男子が多いというか「全部男子だね…」ってのも少なくありません。
とくに円山派とそれに繋がる派は男子率高し。女子をさがすのが大変。応挙が男子を多く描いている*2のが、弟子に型として受継がれている可能性を感じます。
絵の読み解きの楽しさは、私にとっては何物にもかえがたい面があって「絵ばっかり見て暮らしたい…」と常々言っています。
なのにどうして作る側に進んじゃったかなぁ…なんて、これも常々言っています。楽しみの違い、作るのも何物にもかえがたいのだと感じます。

*1:絵だけではなく、工芸品なども含めてけっこう知ってる方なのではないかな?と珍しく自負しています。

*2:本番の絵ではなく、デッサン的なものを多く残している応挙ですが、その中に残っているカメの絵も男子です。ものすごく精密で写生絵と言われたのがよくわかります。女子も描いてないかな…って探してますけれど、たまたま見る機会がないだけなのかも。あったら見たいです。