クッキングペーパーがなかったので、買いにでかける。
錦絵(浮世絵)の場合は違いますが、木版画を摺る時、バレンの滑りをよくしたり、バレンが(湿らせてある紙の)水気を吸収しすぎないため、摺る紙とバレンの間にあて紙を挟みます。
今は片面がパラフィン紙のようになっている紙を使っているけど、以前はクッキングペーパーを使っていました。撥水性が高くつるつるしているのが、あて紙としての機能を発揮しちょうどよかったんです。ただ、あて紙にするには厚さが薄いのが難点ではありました……クッキングペーパーは料理のために開発されたものなので、あて紙として。なーんて言われても気の毒だけど。
ほかにも厚口のトレーシングペーパーに蜜蝋や蝋をひき、あて紙にする場合もあります。あて紙を使わない場合*1もあるけれど、目的によって使い分けるという感じです。
とにかく「画材」とカテゴリーされているもの以外でも、ピンときたら使ってみる。が、功を奏する時があります。で、すごく手応えがあって「私、すごい大発見をしてしまった…あわわ、どうしよう…」と、思ったものは、だいたいにおいて古い時代によく似た道具があったことが多いです。
廃れた道具というのは、かならずしも古びて取るに足らないもの。と、いうわけではなく(そういう一面もあるでしょうけれど)たまたま時代にあわなくなったから、つかのまナリをひそめた。と、いう面もあると強く感じる時があります。また求められる時代がくれば「はいはーい!」と、起きだすことでしょう。
木版画の道具はナリをひそめる云々より、絶滅危惧種(絶滅したのもあり)のオンパレードです。
写真はクッキングペーパーを買った帰り道。一羽は完全に眠っていて、もう一羽は首を羽にうずめていましたが、めっちゃ目が合いまくっていました。私が携帯電話をゴソゴソだしていたら2羽ともに警戒された。わるいことしました。
クッキングペーパーは本来の力を発揮してもらうため、料理に使いました。

*1:椿油をバレンに軽く含ませて、滑りをよくしたり。なかにはバレンを頭にグルグルこすりつけて、頭の油をつけるひともいます。