番外木版

写真は版木です。けれど私のものではありません。事情があって、週に1度の以上の割合で連絡を取り合っている、木版画仲間*1と2人で摺ります。
にわか摺り師?一瞬摺り師?摺り師もどき!をさせていただくため、私の手元にきました。
「むかめさんから摺ってよ」と、きょう(急遽)木版画仲間から受取ったのだけれど……受渡しのときに2人で版木を見て「ちょっとさらった(彫った)ほうがいいねぇ」ということに。
水性木版のスタンダードは彫り残した部分が絵になる「凸版」です。絵にしたくない部分は彫ってしまいます。この彫った部分もけっこう重要で、摺りやすい彫り。摺りにくい彫りというのがあります。摺りやすい彫りというだけで、格段に摺る*2のがラクになって、しかも美しい仕上がりになるのです。
そういうこともあって、自分が摺るなら…と思って版木を見ると、彫りあとってとても気になるのです。受渡しのときに2人で顔を突き合わせて「私なら(摺り辛そうだから)彫るね…」「僕も(摺りやすいように)彫るなぁ……」と意見が一致したので、「じゃあ、私が先に摺るから…私が彫るわ」ということになり、写真に繋がります。
はじめは「ちゃっちゃとできるだろう」くらいに考えていたけれど、やりはじめると「ちょっと大変かもなぁ…」なかなか終わりません!完全にナメていました☆
うまく書けませんが、いつもは自分の版木を彫って「しんどい、しんどい。彫るの好きじゃない」とブツブツ言っているけれど……自分に合ったように開発?クセがついているんだなぁ…と実感しました。人のクセに合わせるのってとっても大変!摺り師もどきだけではなく、彫り師もどきにもなっている気分です。
大変だけれど、いいものです。版木の持ち主は「もしかしたらこういう風にしたかったんじゃないかな……」とか「これは納得いってなさそう」……なんとなく人柄が浮かんできます。私が十分に知っている人柄だったり、へぇ!こんな面も(もしかしたら)あったのかぁ…という驚きだったり。摺ったらもっとわかることもあるのかも。楽しみです。

*1:御年79歳。仲間であり先輩でしょうか…

*2:絵具をのせるのも、バレンを動かすのも、スピードも、すべての手際がよくなるくらい違うのです。