しろちどり

日照時間が長くなり「はやく目覚めなさい」と部屋に日が射し込んできます。雨戸を閉めず、部屋は障子なので、朝には朝がやってくる部屋なのです☆☆冬などはいまと同じ時間に起きても「真っ暗なのに無理矢理起きている」気持ちがするけれど、いまの時期はそういうことがありません。
写真にも朝日が射しているようですが、これはたまたま陰影がこうなっただけの「干潟の鳥てぬぐい(しろちどり)」の一部。グレートーンのかなりシックな絵柄ですが人気者のようです。(エコワの森および、リンク→にある博物館等でご購入いただけます☆)
ひさびさに染めているのだけど、やっぱりシック。いままでデザインした手ぬぐいの中でも、とくに気に入っているもののひとつ*1です。
今月に入って久しぶりに手ぬぐいを広げてマジマジと眺めたのですが、しろちどりてぬぐいは私の作る(大きいサイズの)木版画に通じるものがあると気付きました。
空間の残し方に感じ入るものがあります。位置関係などを決める時に1センチ右に…いや5ミリかもしれない……と、あーでもないこーでもない。と、かなりの時間をかけて考えたことを思い出しました。私は原寸で構図を考えてゆくので(手ぬぐいサイズの長細い)紙が積もってゆく感じでした。
一般的には「余白」と言われる部分がとても多いデザインだと思います。自身の内面のことを少し書きますと、私は「余白」ではなくて、その白い部分に何かを感じられる(たとえば広がりや、狭さ。景色や描かれていないものが見えるような)…そーいう絵を作ることができたらいいなぁ…と思ったり憧れを持っています。とくに木版画ではそこを目指して真正面から取り組み四苦八苦*2。絵の部分は見せ場なのでモチロン力を入れるけど、白い部分も見せ場なので同様(ときにはそれ以上)力を入れている(つもり)。単純に「どれくらいの時間考えたか」って話になると、この頃は白い部分のことを考えていることの方が多いです。
ですので手ぬぐいを見て「やっぱりこの(しろちどり)手ぬぐいは好きだなぁ…」と思うと同時に「もうちょっと空間の広がりがあるような位置ってあるんじゃないかなぁ…」と思ったりもしてしまいました。と書きつつ一番は「うん、やっぱりこれ気に入ってるな」と感じています。その最もたる点は、フワッと軽く苦労などとは無縁のスッキリした出来に持っていけている。
どのデザインの手ぬぐいも、1枚は制作者用に(試作の最終段階を)手元に置いている*3のですが、しとりどりだけはすべて出払っていて手元にありません*4。色や形等の試作で試行錯誤がなかった証拠で、一番はじめに作ったものがそのまま商品になったということです。いま振返ると面白いなぁ……と思います(私がひとりで頷いて納得する面白さだけど)。
いろんなご家庭で可愛がってくださっていたら嬉しいです。折りたたんである手ぬぐいを広げてゆくと、シロチドリが一羽また一羽と増えてゆきます☆☆☆

*1:ほかには「シギ3種盛り」というのも、とくに気に入っています☆☆

*2:難しすぎて、いつも頭打ちにあっては「んにゃろー」と苦虫をかみつぶしているのです★★リアルにかみつぶしたことないけど。

*3:染め増しの時に、色見本として必要ですしね。

*4:販売する商品は2枚ほどあるけれど。