包みかえ

写真は木版画の摺りで使用するバレンです。
バレンを包んでいる竹皮がくたびれて破れまくっているので、包みかえをしました。使えるけど…大成功ではないし、成功にも手が届いているのかしら…という出来。
バレンの竹皮の包みかえは「よし、いまからやるぞ」という気合いも必要、根気も必要、体力というか力も必要、慣れ(技術)も必要*1。少なくとも私にとってバレンの竹皮の張り替えは大変な(でも絶対に必要な)ハードルです。
それにしても、バレンを考案した人(もしくは人達)は一体なにを考えて、どういう道筋で作っていったのだろうと思います。バレンの中身はモチロンそう*2なのですが、乾いてパリパリに丸まっている竹皮*3を水分を与えて*4柔らかくして、それをナメすように伸ばして、繊維を潰し、丸い形のバレンを包んで、持ち手を作る*5……『竹皮を包むだけでこの作業だよ?中身も含めたらどういう順序で考えていったのかわからないし、完成に近づくまでにはどういうバレンの形や材質を経たんだろう…』と単純に思います。
おそらく、明確な順序などはなかったのだろうと思う*6けれど、本当に不思議です。必要に迫られて…というのはあったのでしょうけれど…それでも、なんというか機能のみというのを越えたものを感じてしまいます。

*1:竹皮は丈夫なので、相当使わないかぎりくたびれません。軽いタッチの摺りばかりだと破れることは(ほとんど)ないと思いますし。ですので、摺りの内容や数によると思いますが、職人さんでないかぎりしょっちゅう張り替えるものではないのです。

*2:あまりに複雑で、詳しい内容を書く能力が私にはありません!

*3:おにぎりを包んであったりする、あれと同じです。

*4:この作業が脳しんとうを起こすんじゃないか?というくらいに、大変な作業なのです。きょうも途中で頭がクラ〜ッとしました。

*5:替え終わった古い竹皮や、張り替えのときにでた竹皮の切れ端は、裂いて束ねて「はこび」という筆のようなものにリサイクルされます。

*6:明確な順序が出来るのは、完成に近づいたり、完成してからの「工程」の話ですものね。