パソ仕事の合間にブログアップ。そうすればパソ仕事が終われば電源切って、今日はパソをひらくことはない。
写真はめだか水槽(野菜用のプランター使用)の蓮。一部茎が立ち上がってきました。これからどうなるかな。
或る日の事でございます。御釈迦様は蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。と、はじまる物語は蜘蛛の糸でした。
蜘蛛の糸がぷっつり切れたあとのお釈迦様の態度というか、考えてみると終始ぶらぶら歩いている姿が、涼やかで恐ろしいな…と感じたものです。高野文子さんが蜘蛛の糸をマンガ化してくださったらピッタリだろうな…と思います。
芥川龍之介の作品は恐ろしさがつきまとう作品が多く、そこが私にとっては魅力です。
たしか蜘蛛の糸は龍之介がはじめて描いた児童文学(絵本の原稿)だったと思います。当時、龍之介には子どもがいなかったので、作品作りにはずいぶん苦労をしたという談話が残っていたはず*1です。
とても大判の絵本だったそうで、それは龍之介の指示が反映されたのだとか。子どもたちがワッと集まってきて、絵本の周囲をワイワイと取り囲んで読むことができるように、できるかぎり大きいサイズを…と希望したのだそうです。
はじめて作った絵本のサイズにこだわった作家さんを、私はもうひとり知っています。ピーターラビットで有名なポター。龍之介リクエストの大判サイズに対し、ポターリクエストのピーターラビットはとても小さいサイズの絵本です。
小さい子どもが手に取って、その世界をひとりで楽しめるように。というような理由だったと思います。
龍之介は兄弟や近所の子とワイワイがやがや育った人。それに対しポターは一人遊びを友としている人でした。
面白いですね。ひとつの事柄に対し、わかりやすいくらい正反対の意見を持って、そこを基盤に一生懸命作品作りをした人たちです。
しかし、ただ違ったのではなく共通点もありました。「できるかぎり、いいものを。」龍之介の絵本も、ポターのピーターラビットの初版も製本や色、さまざまな作りがたいへん豪華だったと聞きます。ピーターラビットの初版本は見る機会に恵まれたことがありますが、本当にこれがデビュー作?新人の作家がこの本を?と息をのむほど隅々まで力の入った仕事でした。
なにかを作る時、答えはひとつじゃない。見る角度、世界によって景色は違う。たとえ見る角度が違っても、不思議と繋がりを感じるものが出る時もある。私にとっては印象的でいつも頭にあるエピソードです。

*1:蜘蛛の糸じゃなかったかもですが、とにかく、はじめて手がけた絵本。