作業内容*1によっては、爪はもちろんのこと、手全体に色がつきます。
もともと手が汚れたりするのは、たいへん気になる方です。服は汚れてもいいし、爪が折れるもの仕方ないけど、手自体が汚れるのはムリ…くらいです。刃物が滑って手などを切ったりする事故も、切れたら仕方ないと思うんでしょうし、「やってしまってん、ほらほら。すごいでしょう。」なんて話すんでしょうけれど、気持ち的にはありえないですし、今のところ不思議*2と切ったことはありません。
意識して『汚れてもいいんだい。汚すんだい。』と思っていたら、ぜんぜん気にならないのです。なにが問題って多くの方に経験がおありかと思いますが、気づかないうちに汚してしまうと、その汚れた手で道具や紙やいろんなものに触れた時に(当然だけど)触れたものが汚れ、さらに自分の手も汚れ、それが呼び水となって、どんどん汚れるのを嫌ってのことです。
今朝、『これくらいなら大丈夫かな?』と、思ってやった作業で、見事に汚したくない所を汚してしまいました。……これくらいなら。と思う時点で間違ってるのよねー。なんだけれど、なぜこういう時ってフラフラと間違える方に行ってしまうんでしょう。これから先は、今回のような時は絶対に、これくらいなら…って思わない。
むかしですが、パステルを使用し指でかなり大きなサイズの作品を描いている友達がいました。乾いた指で粉を画面に延々と(すこしずつ)塗り続ける作業ですから、ものすごい集中力と気力、体力、すべてが必要です。
やってゆくうちに皮膚が薄くなって指紋が消えてゆきます。指が痛い痛いとは言っていましたが、かなり集中してやっていました。ある時、友達が私の隣で「あっ」っと言った時には、画面に血の筋が一本、ハッとするほど美しく流れていました。薄くなった皮膚が破れて血が出てしまったのです。
作品に使用していた色は、全体的に淡いトーンのもので、血の色は破綻を入れたように見え、今でも鮮明に覚えています。胸がしめつけられそうな気持ちになったと同時に、感動…ではないけれど、友達のたましいに触れたような気持ちにもなりました。
意図的に描いたわけではなく、汚れてしまった手で画面を触ってしまった*3。ということになり、本人もショックを受けていましたが、考えれば考えるほど、あれは汚れとは言えないと思います。少なくとも、私に問いかけ続ける作品。

*1:とくに染め。

*2:よく切れるように手入れを欠かさないとか、毎日何時間も刃物を使っているわりには、刃物が怖くてたまらないので、それが作用していたりするのかもですが…。

*3:その後、友達はあるていど皮膚が回復するまで、ほかの指で描いていましたし。